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※前回…【男「海にいきたい」】

1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 01:36:49.82 ID:/3HZC0D+0

男「はあ」

女「うん」

男「また?」

女「もう二か月も行ってないよ」

男「二か月おきでも、早いよ」

女「だってあなた、他はどこにも連れて行ってくれないんだもの」

男「この間行ったばかりじゃないか」

女「・・・ああ、そうだったね。ありがとう」





【外国映画ぼくの500本】


4 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 01:50:01.92 ID:/3HZC0D+0

男「まあ、いいけど」

女「うん」

男「何か見たい映画があるの」

女「ううん。ないね」

男「じゃあ、なんで」

女「行ってから決めるの。いつもそうだったじゃない」

男「そう、だったかな・・・」



5 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 01:58:53.54 ID:/3HZC0D+0

女「まあ、最近は違ったかもしれないけど」

男「前は、何を見に行ったんだっけ」

女「そんなことも覚えてないの」

男「ああ、うん」

女「彼女とのデートの内容を覚えてないなんて。まあ、いいけどさ」

男「デートなんて毎日してるだろ」

女「これ?これは、違うよ」

男「はあ」

女「これは、生活だよ」



8 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 02:04:18.66 ID:/3HZC0D+0

女「映画ってのはさ、雰囲気なの」

男「はあ」

女「たまにはそういう、非現実的な空間に行ってもいいんじゃない」

男「ああ、わかったわかった。聞き飽きた」

女「そう。なら、いいんだけど」



14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 02:09:20.51 ID:/3HZC0D+0

>>7
寝てくれ

女「とにかく、映画に行くのはいいんだね」

男「ああ、まあ」

女「そう。よかった」

男「そんなに好きか」

女「実際は、そうでも。でもなるべく何かあった方が、楽しいよ」

男「なんなら、違うところに連れて行ってやってもいいんだぞ」

女「今回は、いいよ。また今度お願いね」



17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 02:12:51.21 ID:/3HZC0D+0

読点を指摘されるか

女「それにあたって、あの人を呼んでもいいかな」

男「あの人って」

女「ほら。あの人」

男「名前を呼ばせたいんだろ」

女「ああ、わかった?」

男「いいよ。というか最初からそれが目的か」

女「それもわかるんだね」



19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 02:16:02.37 ID:/3HZC0D+0

女「連れて行ってあげるって云ってなかった?」

男「いや、多分云ってない」

女「冷たいね」

男「冷たいよ」

女「もっと優しくしてあげればいいのに」

男「あの人にはこれで充分なんだよ」

女「それは、可哀相だよ」



20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 02:19:50.08 ID:/3HZC0D+0

男「頼まれたの」

女「ううん。別に」

男「ついでか」

女「そういう云い方は悪いけど」

男「まあ、あの人には恩はあるし」

女「うん」

男「義理を重んじる主義ですから」

女「なんか、ヤクザっぽい言い回しだよ」



21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 02:23:39.36 ID:/3HZC0D+0

女「じゃあ、明日ね」

男「明日か」

女「そうだよ。明日」

男「もうちょっとゆとりを持ってくれないのか」

女「なに。そのゆとりって。毎日暇なのに、そんなのいる?」

男「お前、何気にひどいこと云ってるぞ」

女「ああ。ごめん」

男「あの人の都合は」

女「多分、大丈夫でしょう」

男「もう少し計画性を持ってくれよ・・・」



22 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 02:26:57.28 ID:/3HZC0D+0

女「ハルさん、やっほー」

晴「やっほー。女ちゃん」

男「よお。暇なんだな」

晴「まあ、男くんからのデートとあれば暇くらいつくるよ」

男「そりゃどうも」

晴「どういたしまして」



23 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 02:30:28.05 ID:/3HZC0D+0

女「男とデートをするのは、わたしだけどね」

晴「あれえ、妬いちゃたのー?」

女「妬いてません」

晴「まあ、今日はありがとね。二人とも」

女「うん」

男「女が云うから、仕方なく」

晴「だよね。だと思った」

女「まったく素直じゃないの」




24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 02:33:58.32 ID:/3HZC0D+0

晴「今日は車はいいの」

男「ああ、電車で行きたいらしいよ」

女「うん」

晴「寒いよ?」

女「たまにはいいじゃない」

晴「まあ」

男「俺としては車でさっさと行きたいところだけど」

女「ほんと、意地悪」

晴「だよねえ」



25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 02:40:35.39 ID:/3HZC0D+0

晴「何を見るんだっけ」

男「それも決めてないんだ」

女「そうなんだけど、いいかな」

晴「へえ。そっちのほうが楽しそう」

男「ああ。あなたに選択権はないぞ」

晴「ええ、なんでよ」

男「趣味があわない」

晴「そうあっさり云われると食い下がりたくなるね」

女「選択権、あるに決まってるでしょう。意地悪ばっかりいわないの」

男「ああ、はいはい」



26 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 02:45:30.58 ID:/3HZC0D+0

晴「電車かあ」

女「ハルさんはあまり電車に乗らないの」

晴「うん。出不精だからね」

男「ニートだよな」

晴「まあ、当たってなくは無い。というかあたってる」

女「というか、車もってるもんね」

晴「どっちかといえば、それが大きいね」




28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 02:52:24.06 ID:/3HZC0D+0

女「というかハルさんって」

晴「ん?」

女「何をしてる人なの?」

晴「ええと。何をしてるんだろう」

男「何もしてないだろ」

晴「今はバイトの貯金を切り崩して生活してるよ」

男「あといくら」

晴「まあ、半年は働かなくてもいいね」

女「そうじゃなくてさ、将来とか」

晴「ああ。将来」



30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 02:58:32.51 ID:/3HZC0D+0

男「将来だって」

女「なに。変かな」

男「お前が一番嫌いそうな言葉」

女「まあ、自分のはね。ハルさんは夢を信じる人だと思うから」

男「だってよ」

晴「うん。光栄だね」



31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 03:04:45.15 ID:/3HZC0D+0

晴「前ね、イラストの仕事を少しやってたんだ」

女「へえ」

晴「三年くらい前かな。暇つぶしに描いたキャラクターの絵をゲームのコンテストに応募したら優秀賞をもらって」

晴「ゲームに採用されたんだ。それが人気出ちゃって、そのゲーム会社に入社するよう勧められたんだ」

女「ハルさんって、すごい人なんだ」

晴「はは。全然。結局その話も断って、こうしてフリーターしてるんだけど」

女「どうして」

晴「さあ、どうしてだろうね」



32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 03:08:05.69 ID:/3HZC0D+0

晴「まだ働きたくなかったんだね」

男「そんなチャンス、なかなかあるもんじゃないよ」

晴「そうだよね。でもイラストはこつこつ描いてるよ。今度見に来てね」

女「うん。ぜひとも」



33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 03:18:21.59 ID:/3HZC0D+0

晴「まだ自動改札機じゃないんだね」

男「そんなに乗ってないのか」

晴「まあ、高校生のときに何回か。電車は東京で乗る方が多いね」

女「東京」

晴「うん。お母さんの実家があって」

男「どう。東京」

晴「ひどいよ。ほんと」

男「そう」

晴「うん」



35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 03:26:30.40 ID:/3HZC0D+0

晴「椅子を畳んで人を押し込めるんだよ。こんな対面式の座席なんて、できないね」

女「畳む?」

晴「畳むというか。上がるんだよ。こういうふうに、ウィーンって」

女「へえ。すごいね」

男「会話が田舎臭い」

晴「いいでしょう。事実、田舎者なんだから」



36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 03:33:34.21 ID:/3HZC0D+0

女「ウィーンか」

晴「ガシャンかな。実際動いてるのは見たことないけど」

男「そんなことに感動するなよ」

晴「むしろこっちに感動するね。一世代前に戻った感じ」

男「うるせえよ」

女「うん。わたしも都会の方がいいよ」

晴「ふふ。でも、いいんじゃない。こういうのも」



37 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 03:36:58.60 ID:/3HZC0D+0

女「そうそう」

男「ん?」

女「前から聞きたかったんだけど」

男「なに」

女「男のお兄さんって」

男「!」

晴「・・・」

女「今、どこにいるんだっけ」



38 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 03:45:07.08 ID:/3HZC0D+0

男「・・・長野だよ」

女「長野」

男「うん。なんか出版関係の仕事に就いてるって、本人は云ってるけど」

女「そう。最近見ないから」

男「もう三年以上だろ。まあ、あの人が云ってることだから、そうとは限らないけど」

女「うん。ありがとう」

晴「・・・」



39 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 03:47:57.01 ID:/3HZC0D+0

女「長野か」

男「どうした」

女「なんか、もっとすごいところにいるんだと思ってた」

男「長野はしょぼいと」

女「ううん。もっと海外とかだと思ってた」

男「なんで」

女「さあ。なんだかカリスマっぽいから。あの人」

男「そう、だったっけ」

女「うん。覚えてないの」

男「いや、覚えてるけどさ」



40 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 03:54:25.30 ID:/3HZC0D+0

女「よかった。生きてるんだね」

男「勝手に人を殺すなよ」

女「ごめん」

晴「男くんって、お兄さんいたんだ」

男「あ、ああ。いるよ」

晴「私、こう見えて妹がいるんだよ」

男「いや、聞いてないし」

晴「・・・」



41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 03:57:52.71 ID:/3HZC0D+0

男「ふう」

晴「さっきの話」

男「ん?」

晴「お兄さん」

男「ああ」

晴「本当のこと?」

男「うそ、だよ」

晴「そっか」

男「ああ」



42 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 04:01:43.39 ID:/3HZC0D+0

男「本当だったらどうしてた?」

晴「長野、行ってたね」

男「だろうな」

晴「てっきり本当なのかと」

男「わかったらいの一番にあんたに云うよ」

晴「ふふ。そうしてもらえると、助かる」



43 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 04:06:38.19 ID:/3HZC0D+0

男「年末って地雷が多いんだよ」

女「つまり?」

男「年末の大作といえば、ほとんどが外れはずれに大外れ」

女「たとえば?」

男「地球が静止する日」

晴「ああ。あれはなかったよね」

女「見てない」



44 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 04:09:39.52 ID:/3HZC0D+0

男「アイ・アム・レジェンド」

女「あれはけっこう」

晴「まあ、びびらせ映画だったけどね」

男「いや、地球に人類がただ一人って宣伝で見に行ったのに、一人じゃないし」

女「ああ。そういう理由」

男「もちろん映画としてもいまいちだ」

晴「確かに少し興ざめだったよね」

女「そう、かな。わたしはいいと思ったけど・・・」



45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 04:14:30.86 ID:/3HZC0D+0

男「つまり、そういうことだ」

女「全然わからなかった」

男「この時期映画を選ぶときはもと慎重になれ、と」

女「うーん。まあ」

晴「あんまり映画に興味ないくせに」

男「うるさいぞ。これはアドバイスだ。心得るように」

女「はいはい。じゃあ、選びましょうか」

晴「うん。そうしようね」



46 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 04:19:09.95 ID:/3HZC0D+0

女「うーん」

晴「決まった?」

女「予想外に見たいものがない」

男「なんだと・・・」

晴「ハリーポッターとか」

女「前作見てないもの」

晴「まあ、私も2までしか見てないわ」

男「あの、俺、ハリーポッターファンなんだが」



47 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 04:23:10.79 ID:/3HZC0D+0

女「うそお」

男「いや、ほんと」

女「小説なんて持ってないじゃない」

男「映画だけ」

晴「そういうのにわかっていうんだよ」

男「いや、違うだろ」

女「とにかくハリーポッターは却下です」

男「な・・・に?」



48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 04:25:57.57 ID:/3HZC0D+0

晴「ノルウェイの森」

女「邦画かあ」

晴「TRON」

女「それ、日本でやってたっけ」

男「結局見たいものないじゃないか・・・」



49 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 04:28:38.29 ID:/3HZC0D+0

女「はあ、どうしよう」

晴「別に無理しなくても。ねえ」

男「俺としては無理してハリーポッターに行ってほしいんですが」

女「ううん」

晴「いいよ。見たいものがないなら」

男「ハリーポッター」

女「なんか、ごめんね」

晴「ううん。いいんだよ」

男「・・・」



50 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 04:33:04.88 ID:/3HZC0D+0

晴「ポップコーンだけ食べて帰ろうか」

女「うん・・・」

晴「ほら、落ち込まないで。ねえ、男くん」

男「いや、うん・・・」

晴「塩味でいい?」

女「うん」

晴「じゃあ、買ってくるから。ここで待っててね」

男「なんでそこまでしてハリーポッターを避ける」



51 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 04:38:19.42 ID:/3HZC0D+0

晴「キャラメル味ってのがあったから、これも買ってきたけど」

女「ああ、うん。ありがとう」

晴「どっちが好き?」

女「やっぱり、塩だね」

男「あっさり元気になってる」

晴「そっか。そうだよね」

男「じゃあ、俺はキャラメル食べるよ」



52 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 04:42:25.14 ID:/3HZC0D+0

女「修学旅行で行ったUSJで初めてキャラメル味のを食べたときはびっくりしたね。不味くて」

晴「あー、私もわたしも」

男「じゃあ、なんで買って来たんだよ」

晴「好きな人、いるかと思って」

男「ああ、そう・・・」



53 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 04:45:53.41 ID:/3HZC0D+0

女「昔ここでだし味ってのが売ってて、それがすごくおいしかったよ」

晴「へえ。どんなの」

女「本当にだしがかかってる」

晴「おいしいんだ」

女「うん。塩より味っ気があってよかった。もうないのが残念だけど」

晴「私も食べてみたかったなあ」



54 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 04:51:05.54 ID:/3HZC0D+0

女「ハルさんって」

晴「ん。なに?」

女「彼氏とか、いるの」

晴「ええ。なんで」

女「なんとなく、かな」

晴「今日の女ちゃんは話がよく飛ぶね」

女「まあ、あんまり流れを考えない人間だから」



55 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 04:58:07.31 ID:/3HZC0D+0

男「いるわけないだろ」

晴「女ちゃん。もっと優しい人を選ばなきゃ」

女「うん。そうだね」

男「ああ、ごめんごめん」

晴「ほんと冷たいというか、手厳しいというか」

女「ねえ」

男「いや、ほんの冗談というか。なんていうんだろ」



56 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 05:02:14.86 ID:/3HZC0D+0

晴「まあね。いないよ」

女「いないんだ」

男「いたらこんなに俺たちと遊んでないだろ」

女「それもそうだね」

晴「もしいたとしても、あなたたちと遊ぶ時間なんていくらでもつくるよ」

女「ありがとう」

晴「どういたしまして、かな」



57 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 05:10:05.55 ID:/3HZC0D+0

女「こんなにかわいいのに。ねえ」

晴「かわいいって。ねえ、かわいいってさ」

男「ああ、はいはい。わかったわかった。顔の問題じゃない」

晴「ちょっと。どういう意味よ」

女「まあ、別にいないときはいないよね。わたしだってこんな感じだし」

男「まるで自分がかわいいと言いたげな」

女「かわいくない?」

男「まあ、かわいい、けどさ」

女「ふふ。冗談だよ」

晴「いや、今のは冗談じゃないでしょうよ・・・」



58 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/11(土) 05:16:28.75 ID:/3HZC0D+0

女「でも、ハルさんはかわいいよ」

晴「ありがとう。お世辞でもうれしいよ」

女「ううん」

晴「一人だけ、いたんだ」

女「え?」

晴「私って人付き合い下手なところあるから。それ以来、なんだかなぁ~って感じだね」

女「人付き合い、下手なんだ」

晴「妙に馴れ馴れしいところとか、ね」

男「・・・」



82 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 00:03:12.71 ID:KREK3sKb0

晴「じゃあなんか映画借りて、うちで見ようか」

女「うちって」

晴「私のうち」

女「いいの」

晴「散らかってるけど、それでいいなら」

女「それは知ってるよ」

晴「今ぐさっときたよ。ぐさぁって」



83 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 00:23:58.62 ID:KREK3sKb0

女「散らかってるというか、なんか無機質なの」

晴「はあ。無機質」

女「少なくとも女の子の部屋ではないね」

男「だって女の子じゃないもの」

女「引っ越しのダンボールだって、そのままだし」

晴「それは、ごめんなさい」

女「牢獄を思い出すよ」

晴「女ちゃんってさらっとひどいこと云ってくれるよね」



85 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 01:40:48.95 ID:KREK3sKb0

>>84
まあ、そのままの日付を考えてもらえれば



女「わたしがかたづけてあげようか」

晴「いい、いい」

女「どうして」

晴「プライベートだし、女としてなんか」

男「もうあきらめろよ」

晴「ひどい」

女「まあ、プライベートは仕方ないね」



86 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 01:45:09.16 ID:KREK3sKb0

男「お前の部屋だって」

女「なに」

男「あのダンボールの束、どうにかしろよ」

女「ああ。そのうち」

男「amazonばっかり使ってるから」

女「だって、便利じゃない。安いし」

男「ゲームも大分増えて」

女「わかったってば。じゃあ、今度手伝ってよ」

男「まあ、いいけど」



87 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 01:49:37.06 ID:KREK3sKb0

晴「どれが見たい」

女「ふうむ」

晴「この間、これ見たよ」

女「ああ、ハートロッカー。どうだった?」

晴「よかったよー。でも、エンディングでがっくりって感じ」

女「どんな感じが?」

晴「曲ですな」

女「曲ですか」

晴「うむ」



88 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 01:57:42.62 ID:KREK3sKb0

女「実際こういうの、決めかねるよね」

晴「これなんかは?」

女「第九地区は見たよ」

晴「なかなかよかったよね」

女「邦題のださいのはどうしようもないのかな」

晴「別に原題を英語のままもってきてもいいよね」

女「第九地区って。ニュータウンみたい」

晴「ニュータウンって言い方、未だに存在するんだ」

女「わたしの中では」



89 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 02:03:09.75 ID:KREK3sKb0

女「じゃあ、これにします」

晴「96時間?私、見たよ」

男「俺も見た」

女「どうだった?」

男「まあ」

晴「女ちゃんの評価が欲しいところ」

女「じゃあ、決定ということで」

晴「これほどひどい邦題も、なかなかないよね。全然関係ないし」



90 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 02:11:17.72 ID:KREK3sKb0

晴「これ、確かフランス映画だよね。日本で公開されてる前から気になってたんだ」

男「主人公がクワイ=ガンだって、調べるまで気付かなかった」

晴「そうそう」

女「クワイ=ガン?何それ」

男「クワイ=ガンはクワイ=ガンだよ」

晴「緑のヒーローだね」

男「その云い方は違う小動物が思い出されるな」



91 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 02:18:24.84 ID:KREK3sKb0

>>90
されてる→される

女「相変わらず殺風景だね。ハルさんの部屋」

晴「はあ、どうも」

女「映像機器だけ本気でそろってるのはなんで?」

男「そうそう。前から気になってた」

晴「出不精だからですな」

女「便利な言葉だね」

晴「でしょう。これから遣ってもいいよ」

女「いや、遠慮するよ」



92 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 02:26:26.35 ID:KREK3sKb0

晴「ほんというと、懸賞でスピーカーがあたって、ついでに揃えたんだ」

女「それはラッキーだったね」

晴「イラストも懸賞があたったみたいな感じで」

女「ああ、見せてよ。そのイラスト」

晴「うん。ほら」

女「うわあ、すごい。すごいよ、男」

男「うん。すごいな」

晴「えへへー。褒められちった」




93 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 02:32:30.16 ID:KREK3sKb0

男「初めてみたけど、これはいいな」

女「プロ級だよ」

晴「そこまで褒められると恥ずかしいね」

女「男はこういう女の子が好みなの?」

男「もう少し幼い方がいいかも」

女「ロリコン」

男「エマ・ワトソンは絶対に昔の方がかわいい」

晴「激しく同意」



94 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 02:58:26.59 ID:KREK3sKb0

晴「まあ、こういう感じです」

女「PCの壁紙にするよ」

晴「ふふ。ありがとう」

男「なんか、見直した」

晴「惚れ直した?」

男「うん。惚れた」

女「わたしも、惚れた」

晴「そこは、否定するんだよ。男くん」



100 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 10:45:18.77 ID:KREK3sKb0


晴「どうだった?」

女「うん。おもしろかった」

晴「そう。よかった」

女「目的がぶれないところがね。よく展開が二転三転する映画、あるから。あれで面白いと思ってるのかな」

晴「ふふ。評価が適格だね」

女「だって、プロなんだもの」



101 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 10:58:20.37 ID:KREK3sKb0

女「こういう映画を見ると自分も強くなった気がするよね」

男「全然」

晴「女ちゃんは影響されやすいからね」

女「いや、ハルさんに云われたくない」

男「だって、俺はもう様々な格闘技を習得して、最強だから」

女「うそお。ジークンドー、割と早く飽きてたよね」



102 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 11:17:16.14 ID:KREK3sKb0

晴「じゃあ、どうしようか」

女「うん。もう遅いし、帰ろうかな」

晴「そうだね。遅いから、お楽しみだね」

女「ああ、またその方向ですか」

晴「その方向です」



104 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 11:31:41.81 ID:KREK3sKb0



晴「男くんと女ちゃんって、ええと」

女「なに」

晴「その」

女「ああ、云いたいことはわかるよ」

晴「へえ」

女「まだなの、とか云いたいんでしょう」

晴「ご名答」



106 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 11:42:03.25 ID:KREK3sKb0

女「ううん」

男「なんだよ」

女「まだ、だよね」

男「なにが」

女「というか、どこまでがまだなの」

晴「それはもう、ぐさぁまで」

女「ああ。そこまでですか」



108 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 13:17:50.40 ID:KREK3sKb0

女「まだですね」

晴「まだですか」

男「いや、知らないよ。恥ずかしい」

女「わたしとしては、いつでもいいんだけど」

晴「いつでもいいんだってよ」

男「はあ、そうですか」

晴「じゃあ、ここで襲っちゃうよー」

女「あいにくそこまでの耐性は身に着けていません」



109 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 13:28:15.91 ID:KREK3sKb0

晴「なんでまだなんですか」

女「そんなに急がないといけないんですか」

晴「もう一年ですね」

女「なんで知ってるの」

晴「男くんから聞きました」

女「ああ。そうなの」



110 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 13:32:37.27 ID:KREK3sKb0

女「気分だよ。ねえ」

男「知らんしらん」

女「顔、赤いよ」

晴「男くんもかわいいところあるんだねえ」

男「うるさい、うるさい」

女「そういうわけで、別に今日でもいいんだよ?」

晴「だって」

男「ちょっと、考えさせて下さい・・・」

女「チキン」



120 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 19:56:30.64 ID:KREK3sKb0

女「じゃあ、もう帰るね」

男「ああ」

晴「うん。今日は楽しかった」

女「うそ」

晴「どうして?」

女「無駄足くって、一度見た映画をもう一度見て」

晴「女ちゃん。人の云ったことを理由もなく疑うのは、よくないと思うな」

女「でも・・・」



121 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 20:03:28.44 ID:KREK3sKb0

晴「人の云ったことは素直に信じていいんだよ」

晴「それとも女ちゃんは人の心を読めるのかしら」

女「ううん」

晴「だったら私の云うことくらい信じて、ね?」

女「うん」

晴「男くんのことも同じだよ?ちゃんと信じてあげてね」



122 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 20:13:34.10 ID:KREK3sKb0

男「今日はありがとう」

晴「あれ、珍しく優しいんだ」

男「いつも通りだろ?」

晴「ふふ。そうだったね」

女「じゃあね、ハルさん。またね」

晴「また遊んでね」

女「もちろん。こちらこそ」

晴「うん。バイバイ」



123 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 20:31:07.31 ID:KREK3sKb0

女「ハルさんの部屋のスチールラックに倒してあった写真」

男「うん?」

女「見た?」

男「いいや」

女「倒してあるってことは見られたくないものなんだ」

男「はあ」

女「それを見たってことは責任を持たなきゃいけないんだと思う」

男「何を云ってるんだ?」



124 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 20:41:08.06 ID:KREK3sKb0

女「その写真には小学生のあなたとわたし」

男「ああ。そうか」

女「それで今とは違って髪が長かったけど、あれ、ハルさんだよね」

男「そうだよ」

女「わたしがハルさんと出会ったのは今年の春じゃなかったんだ」

男「お前が、覚えていなかったんだ」



125 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/12(日) 20:53:39.41 ID:KREK3sKb0

女「まあ、会ったことあるようなとは思ってたけど」

男「そう」

女「それと恥ずかしそうにしていた、男のお兄さん」

男「ああ、写ってたの」

女「ハルさんの彼氏ってお兄さんだったんだ」

男「そう、なんじゃないか」

女「曖昧な返事だね」

男「それは本人に聞けよ」

女「うん。そうする」



132 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/13(月) 00:01:51.22 ID:E7nqZGQl0

女「お兄さんって、本当に長野にいるの」

男「ああ・・・。いるよ」

女「そう。なら、いいんだけど」

男「うん」

女「どうしてハルさんはわたしと初対面のふりをしたのかしら」

男「さあ・・・。それも本人に聞けよ」

女「まあ、いいんだけどさ」



133 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/13(月) 00:11:53.22 ID:E7nqZGQl0

女「理由はわからないけれど」

男「うん」

女「もしもわたしのことを考えて黙っていたとしたら。それは、余計なお世話だよ」

女「もうわたしも16だから。あなたと同じくらいにものを考えられて」

女「相談に乗るなんてことは云えないけれど、話くらいはして欲しい」

男「そんなの、わかってるよ」

女「信じて、いるよ」



134 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/13(月) 00:16:20.57 ID:E7nqZGQl0

女「まあ、それはいいとしてね」

男「ん?」

女「この間のプロポーズ」

男「ああ・・・。なんか、恥ずかしいな」

女「何が。そこは自信をもってよ」

男「すまん」



135 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/13(月) 00:21:20.72 ID:E7nqZGQl0

女「さすがに今すぐ結婚してくれって意味じゃなかったよね」

男「あ、当たり前だろ」

女「ごめんね。男とハルさんのことだから、てっきりすぐにもっていかれると思って」

男「なんだ、もっていかれるって」

女「落ち着いていたように見えたろうけど、けっこうびっくりしたよ」

男「俺の方が、びっくりしたけどな」

女「あの緊張具合は笑えたよ」

男「そりゃどうも・・・」



136 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/13(月) 00:28:30.14 ID:E7nqZGQl0

女「てっきり、俺は実はホモなんだ、とか言い出すのかと思った」

男「お前ってそういうこと、普通に云うのな」

女「まあ、それは嘘だけど」

男「嘘なのか」

女「まあね。好きだって、言葉にしてくれるのかと思ってた」

男「云ってなかったっけ?」

女「云ってないよ。多分ね」

男「俺が去年告白した時は」

女「あのときは結局、わたしから云ったんでしょう」

男「ああ?」

女「あなたがあんまり、口ごもっていたから」



141 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/13(月) 04:49:27.09 ID:E7nqZGQl0

女「ありがとう」

男「何が」

女「結婚してくれって云ってくれて」

男「ああ。うん」

女「ふふ」

男「何が面白いんだ」

女「ううん。楽しくて」



142 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/13(月) 04:52:00.08 ID:E7nqZGQl0

女「じゃあ、また明日ね」

男「俺の家、少し寄って行くか?」

女「いいよ」

男「そう」

女「襲われそうだから」

男「ああ」

女「冗談だよ」

男「本当に?」

女「ほんとほんと」



143 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/13(月) 04:56:08.30 ID:E7nqZGQl0

女「じゃあね」

男「ああ。またな」

女「男」

男「なんだよ」

女「大好きだよ」

男「・・・俺も」

女「そう、答えるんだ」

男「?」



144 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/13(月) 04:59:20.84 ID:E7nqZGQl0

男「もしもし」

晴「ああ、男くん。今はお楽しみの最中だったかな?」

男「違うよ、バカ」

晴「ごめんごめん」

男「まったく」

晴「女ちゃんはそこにいる?」

男「いや、今別れたところだけど」

晴「そう」



145 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/13(月) 05:01:57.72 ID:E7nqZGQl0

男「どうした」

晴「ありがとうを云ってなかったと思って」

男「そんなの、いいのに」

晴「電話でするのも、なんだけどね」

男「まあ、そうだな」

晴「改めてありがとう」

男「どういたしまして」



146 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/13(月) 05:04:37.68 ID:E7nqZGQl0

男「あいつにこそ云っておいてあげてよ」

晴「うん。すぐ連絡するよ」

男「それと」

晴「ん?」

男「スチールラックに置いてある写真」

晴「ああ。うん」

男「女が見たんだって」

晴「そっか」



147 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/13(月) 05:08:25.13 ID:E7nqZGQl0

男「多分明日にでも本人が云うと思うけど」

晴「うん」

男「見られて、まずかった?」

晴「ぜーんぜん。そんなわけないじゃない」

男「あなたがどうして初対面づらしていたから」

晴「まあ、覚えてないならいいと思ってさ。気まずいじゃない」

男「それもそうか」

晴「そうそう」



148 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/13(月) 05:14:32.09 ID:E7nqZGQl0

男「じゃあ、切るぞ」

晴「うん。また明日、行くから」

男「またな」

晴「ああ、ちょっと待って」

男「なに」

晴「男くん・・・。大好きだよ」

男「あいにく足りてるんで」

晴「あちゃー。優柔不断な男くんなら、これで落とせると思ったのに」

男「もっと若い子が好きなの」

晴「そっか。残念」

男「じゃあな」

晴「うん。バイバイ」



おわり



149 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/13(月) 05:15:27.64 ID:E7nqZGQl0

落ちなしですまん。後、保守に頼ったりして、ごめんなさい


152 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/13(月) 07:21:18.01 ID:1xjlm+qxO



続きも期待してる



154 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/13(月) 09:01:29.25 ID:2SPWfTSx0

大層乙であった



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